【リハビリテーション部】患者さん一人ひとりに最適な装具を考える『装具カンファレンス』

こんにちは!リハビリテーション部です。

今回は、当院のリハビリテーションを支える重要な取り組みの一つ、「装具カンファレンス」についてご紹介します。患者様やそのご家族、そしてリハビリテーションに携わる同職種の皆さんにとって、このカンファレンスがどのような役割を果たしているのか、その魅力や意義をお伝えできれば幸いです。

 

装具カンファレンスとは?

「装具」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
当院では、患者様の生活の質(QOL)を向上させ、より安全で効果的なリハビリテーションを支援するために、義肢装具士と協力して様々な装具の作製・調整を行っています。

その中でも、「装具カンファレンス」は、患者様一人ひとりに最適な装具を選び、より良いリハビリテーション計画を立てるために、多職種が連携して深く検討する場です。

カンファレンスの流れ

当院の装具カンファレンスは、通常の会議室での話し合いだけでなく、実際に患者様に参加していただくのが大きな特徴です。

  1. 患者様の歩行評価:
    まず、患者様ご自身に、裸足の状態や現在検討している装具を装着した状態で歩いていただきます。私たちはその歩行を多角的に観察し、装具の必要性や現状の課題を把握します。
  2. 専門家による症例検討:
    患者様の歩行状況を共有した後、リハビリテーション部の理学療法士達が、それぞれの専門的な視点から活発な意見交換を行います。

この実践的な流れこそが、患者さんに本当にフィットする装具を見つけるための重要なプロセスとなっています。

※同意を得て掲載しています

当院の装具カンファレンスが患者様へもたらすもの

当院の装具カンファレンスは、患者様に大きなメリットをもたらします。

患者様へのメリット:多角的な視点からの「ベストフィット」

当院では、装具カンファレンスを通して、以下のような多様な専門家の視点から装具を検討します。

  • 脳卒中下肢装具アドバイザー: 脳卒中後の下肢装具に特化した専門知識を持つアドバイザーが、より専門的な視点から評価・提案を行います。
  • バイオメカニクス視点を持つセラピスト: 身体の動きを力学的な視点から観察し、効率的で負担の少ない歩行を可能にする装具について検討します。
  • 脳卒中認定理学療法士: 脳卒中のリハビリテーションに関する深い知識を持つ認定理学療法士が、包括的な視点から装具の選定をサポートします。

このような専門的な知識に加えて,豊富な臨床経験を持つセラピストが、過去の知見をもとに具体的なアドバイスを提供します。

このように、様々なバックグラウンドを持つセラピストが意見を出し合うことで、担当セラピストだけでは気づけなかった新たな視点や、患者様にとって本当にベストな装具を見つけ出すことが可能になります。

患者様に合う装具について意見を出し合う様子

医療従事者へのメリット:学びと成長の場

装具カンファレンスは、患者様だけでなく、私たち医療従事者にとっても非常に貴重な学びの場です。

他の専門家の意見を聞くことで、自身の知識や経験を深めることができます。特に、脳卒中後の歩行に関する装具の知識は奥深く、常に新しい知見が求められます。このような意見交換の場を通じて、私たちセラピストは日々研鑽を積み、より質の高いリハビリテーションを提供できるよう努めています。

学生さんも参加しセラピストと一緒に歩行を観察

 

当院独自の取り組み:先端的ロボットとの連携

一般的な病院では、歩行トレーニングのために早期から長下肢装具を作成または備品の長下肢装具を使用し、徐々に短下肢装具へと切り替えていくことが多いかもしれません。

しかし、当院には、先端的の歩行支援ロボット「ウェルウォークWW-2000(トヨタ自動車(株))」が導入されています。このWWを活用することで、患者さんの歩行の自立度が向上するまで集中的にトレーニングを行い、退院後の歩行形態に近くなった段階で、より患者様の状態に合わせた最適な装具を作成することが可能になります。

これにより、患者様はより実用的な歩行能力を獲得した上で装具を作成できるようになり、リハビリテーションの効果を引き出すことができます。

ウェルウォークWW-2000

課題と今後の展望

当院では、患者様一人ひとりにベストフィットする装具を提供できるよう、常にカンファレンスの質を高める努力を続けています。今後も、様々な視点から患者様の状態を評価し、最新の知見や技術を取り入れながら、より患者様のニーズに応えられる装具を提供できる環境を整えていきます。

当院のリハビリテーション部では、患者様の「歩きたい」「動きたい」という気持ちに寄り添い、その実現を全力でサポートしてまいります。ご不明な点やご不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。